にんにく料理のコツ

にんにく料理のコツ

料理研究家 村上祥子さん監修のにんにく料理のコツ。
にんにく料理の極意から保存の方法まで伝授します!

にんにくの下ごしらえ 〜切り方・刻み方〜

すりおろす

にんにくはすりおろすのが、最も効果的な使い方。
にんにくの細胞が細分化され、有効成分がたくさん生まれる。
今日はしっかりパワーを取りたいというときは、すりおろして使うのがおすすめ。

にんにくの下ごしらえ:すりおろす

みじん切り

にんにくのみじん切りも、効率的な使い方。
上手にみじん切りにするコツは以下の通り。

  • にんにくを1かけずつはずして薄皮を取り、縦半分に切って芯を取る。
  • 切り口を下にしてまな板に置き、根元は付けたまま、縦に1㎜間隔に切り込みを入れる。
  • 包丁を寝かせて、切り込みに直角に横から切り込みを入れる。
  • にんにくの先の部分から、細かく刻む。

にんにくの下ごしらえ:みじん切り

スライス

縦切り、輪切り

表面積が増えて、にんにく効果が上がる。にんにくの1かけをはずして薄皮を取り、薄切りにする。芯は竹串などを使って除く。

半月切り

にんにくを1かけずつはずして、縦半分に切って芯を除く。切り口を下にして置き、1~2㎜幅の半月切りにする。

にんにくの下ごしらえ:スライス輪切り

つぶす(ひび割れして用いる)

にんにく1かけの薄皮をむき、まな板にのせ、包丁の腹をのせて上から押さえてつぶす。

にんにくの下ごしらえ:つぶす(ひび割れして用いる)

薄皮付きにんにくを叩いて用いる

にんにくを皮付きでまな板に置き、めん棒などで叩いてひび割れさせる。炒め油に、にんにくの香りをほのかにつけたいときなどに用いる。

にんにくの下ごしらえ:叩いて用いる

にんにくの調理

にんにくは調理法によって、よりパワーアップします!

にんにくはすりおろしたり、刻んだりすることで、その効果をより高めて活用できます。もちろん、食べておいしくするテクニックも含めて、にんにく料理のポイントをお伝えしましょう。

すりおろす、刻む、加熱時間の違いなどで、にんにくの新たな有効成分が生まれます。

生のにんにくはほとんどにおいませんが、すりおろしたり、刻んだりすると強いにおいを発するようになります。
これは、生のにんにくに含まれている「アリイン」というタンパク質が、にんにくをおろしたり刻んだりすることで、にんにくの中に含まれている「アリイナーゼ」というタンパク質分解酵素が空気中の酸素と働いてパワーをアップ。「アリイン」を分解して、あのくさい「アリシン」に変化するのです。
「アリシン」は揮発性のイオウを含んだタンパク質です。そのせいでにおうわけですが、体の生理作用に働き、脳の活性化に作用します。
「アリシン」はにんにくのパワーの源。にんにくパワーは、このにおいの中に含まれています。
スライスよりみじん切り、さらにすりおろした方が、細胞が細かく分かれ、空気(酸素)に触れる率が上がり、より多くの有効成分のアリシンを生み出すことができます。

油に溶かすと、さらに有効成分が増加します。

細胞を壊すことで生まれるにんにくの有効成分「アリシン」は、揮発性の成分。放置すると、20分くらいで空気中に逃げていってしまいます。逃がさないようにするには、すぐ油に溶かし込んで、アリインをキープすることが大切。
アリインは油の中に溶け込むと、ジアリルトリスルフィド(DATS)などの「スルフィド類」に変化します。さらに、一部のアリインは「アホエン」という成分にも変わります。これらのスルフィド類や「アホエン」は、がん予防や血栓抑制にも強い効果を発揮します。
これらのことからおわかりのように、にんにくパワーを最大限に取り入れるためには、にんにくをドレッシングに入れたり、炒め物に利用するのが一番!
といっても、高温の油の中にいきなり入れないこと!タンパク質分解酵素の「アリイナーゼ」は、60℃を超すと失活してしまうからです。フライパンや鍋に油とにんにくを入れて火をつけ、弱火でゆっくり加熱することが大切です。

皮付きにんにくを加熱する

皮付きにんにくを油とフライパンに入れ、弱~中火で加熱。ぷっとふくらみ、皮がきつね色になり、パッとはじけたら火を止める。取り出して、香りの移った油で鶏肉や魚などを焼く。器に盛ったら、取り出しておいたにんにくも添える。

にんにくスライスを加熱する

フライパンに油とにんにくスライスを入れてから火をつけ、弱火でゆっくり加熱する。フライパンを傾けて、油を寄せたところで、にんにくに火を通す。にんにくがきつね色になったら火を止める。

にんにくの保存

にんにくはこうして使うのがオススメ

にんにくのオイル漬け

みじん切りor すりおろしたにんにくを瓶に入れ、オリーブ油*を注ぎ、ふたをする。
常温保存で1年間。にんにくは多くても、油の量の1/4に抑えること!
(* ほかの油でもよいが、不飽和脂肪酸のオレイン酸が多いオリーブ油がおすすめ)

にんにくのオイル漬け

にんにくオイル

フライパンに1カップのオリーブ油と、芯を取って薄切りにしたにんにく4かけ分を入れて弱火にかける。にんにくがきつね色になったら火を止め、こす。
冷めたら、ふた付き瓶で常温保存。
フレーバーオイルとして、和洋中のあえ物などに用いる。

にんにくはちみつ漬け

皮をむいて縦半分に切って芯を取ったにんにくを瓶に入れ、はちみつをかぶるまで注ぐ。はちみつに浸すことで、空気からシャットアウトでき、にんにくの酸化が起こらない。
4~5日後から食べられる。常温保存で1年間。
にんにくはそのままいただくか、刻んで焼き菓子や炒め物などに使う。にんにくを漬けたはちみつは、飲みものや料理の甘味料に使える。もちろん、はちみつ漬けの漬け地としても再利用できる。
にんにくをはちみつに漬けると、一部緑化することがあります。これは、にんにくに含まれるイオウ成分とはちみつが反応したため。しばらくたつと、緑色は元に戻ります。

にんにくのはちみつ漬け

にんにくの酢漬け

にんにくの皮をむいて縦半分に切って芯を取って瓶に入れ、酢をかぶるまで注ぐ。にんにくオイルと同様に、にんにくは酢の1/4量に抑える。
酢やにんにくを料理に用いる。
はちみつ漬け同様、酢に漬けることで空気から遮断され、にんにくの酸化が起こらない。

にんにくの粕漬け

粕床に漬けたにんにくを、香の物として刻んで薬味として用いる。
冷蔵保存で1年間。

にんにくのぬか漬け

糠床に漬けたにんにくを、香の物として、酒の肴として活用。
冷蔵保存で1年間。

 レシピはこちら

料理研究家 村上祥子さん

村上 祥子(むらかみ さちこ)

料理研究家。管理栄養士。公立大学法人福岡女子大学客員教授。
1985年より福岡女子大学で栄養指導講座を15年担当。
治療食の開発で、油控えめでも一人分でも短時間においしく調理できる電子レンジに着目。以来、研鑽を重ね、電子レンジ調理の第一人者となる。
糖尿病、生活習慣病予防改善のための栄養バランスのよい、カロリー控えめのレシピ、簡単にできる一人分レシピ、日本型食生活を子どものうちから身につけるための三歳児のミニシェフクラブ、保育所、幼稚園、小学校の食育出前授業など、あらゆるジャンルに電子レンジテクを活用。
日本栄養士会主催の特別保健指導にも講師として参加する。
「ちゃんと食べてちゃんと生きる」をモットーに、日本国内はもとより、ヨーロッパ、アメリカ、中国、タイ、マレーシアなどでも、「食べ力(ぢから)」をつけることへの提案と、実践的食育指導に情熱を注ぐ。
自称、空飛ぶ料理研究家。電子レンジ発酵パンの開発者であり、バナナ黒酢の生みの親。食べることで体調がよくなるたまねぎの機能性に着目。たまねぎ氷を開発し、注目を集めている。
これまでに出版した著書は330冊730万部にのぼる。公立大学法人福岡女子大学にある「村上祥子料理研究資料文庫」の50万点の資料は一般公開されている。
詳細は空飛ぶ料理研究家・村上祥子のホームページhttp://www.murakami-s.jpで。

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